ウルトラマンの話

ウルトラマンZ 感想

2020年12月20日

この記事は2020/12/20に書いたものです。

(C) 2020 円谷プロダクション 「ウルトラマンZ」より

ヤバい(語彙力の消失)

凄い作品だった・・・。

素晴らしい・・・。

こんな素晴らしい作品に出会えるなんて生きててよかった!!

ウルトラマンゼロ登場10周年を迎え、新ヒーローとして現れたのはゼロの弟子ウルトラマンゼット。

でも、弟子は自称で(ほとんど公認みたいなもんだけど)実力は3分の1人前。「ウルトラ◯◯だぜ」という特徴的な決めセリフ。「〜でございます」とか「おかしいところありまっか?」とか不自由な日本語。と初っ端から個性の塊をぶつけて来て一気にキャラクターを立ててございましたな!

ガンマフューチャーが大活躍で私は大満足です。あと「獲ったどー!」と叫んだり「気合だ!気合だ!気合だ!」のポーズを取ったりするベータスマッシュ。

ゼットと一体化した主人公ハルキも真っ直ぐな好青年。

共に真っ直ぐな未熟者いうことでゼットとは正にベストマッチな相棒でした。たとえ怪獣相手であっても「命を奪う」という事に真剣に悩み、悩みを乗り越え自分の戦う意味をしっかり見出したのが印象的。

人の手が伸ばせる範囲には限りがある。それでも多くの命に手を伸ばすためゼットと共に宇宙へ旅立っていきました。ウルトラマンと主人公が共に宇宙へ旅立っていくのはニュージェネでは初めてですね。全てが終わった後の新たな旅立ちっていうのはダイナっぽいなとも思ったり(ダイナと違ってこちらはみんなに見送られた明るい旅立ちだけどね)。ストレイジが宇宙用ロボを作って手伝いに行く(=後から追いつく)って誓うところもダイナっぽいな。そう考えると、最終決戦でみんなの思いが光になる所はティガっぽい。TDG推しか円谷プロ。

ハルキが所属する防衛チーム「ストレイジ」の面々も個性豊かで特徴的な人ばかり。

・枯れ専という設定で、まさかのゼット(5000歳)に恋するヨウコ。

・怪獣や異星人のことになるとマッドな一面を見せるユカ。

・底しれぬ多芸を「昔ちょっとな」で済ませるいぶし銀バコさん。

と、これまた序盤から個性の塊をぶつけてくる面々。それそれのキャラが立っていて見ていて楽しいチームでした。

戦闘機ではなくロボットを駆使する組織で新しい防衛チームの形を見せてくれましたね。ロボットを駆ってウルトラマンと共に並ぶことができるので歴代の防衛チーム以上に「共に闘っている感」が強かった印象。もっとも、ロボットを作れる技術力を持ってしまった故にまさかのラスボスを自ら作り出してしまうという展開。「最強の力を手に入れたモノ」の成れの果てを見せつけてきましたね。

そして忘れてはいけないストレイジ隊長ヘビクラ・ショウタことジャグラス・ジャグラー。

キャスト公開の時点から「別の宇宙のジャグラーか!?」と言われていたらまさかのウルトラマンオーブに登場したジャグラー本人。

リクにもツッコまれてましたが「なんで隊長してるんだお前」な空気の中、みんなをまとめる良き隊長でした。彼もまたストレイジを去りましたがこの後一体どうするのか。気になりますね。

ていうか、もうお前ストレイジに就職しちゃえよ。天職だよ。

今回の悪役「寄生生物セレブロ」。

他人に寄生するというのはウルトラマンR/Bに登場した愛染社長ことチェレーザと同じですが、唯一無二の設定と共に大暴走したチェレーザと違い、セレブロはひたすら影で暗躍。得体のしれない不気味さを発揮していました。正直、序盤はジャグラーに良いように弄ばれていたり、作り出した切り札ベリアルメダルを借りパクされたり、目的達成の前に拘束されそうになったりと「今回の悪役大丈夫か・・・?」と不安になりましたが、クリヤマ長官に寄生して奴は弾けた。

明かされたその正体は近年の作品では珍しい一切の同情の余地がない吐き気を催す邪悪。ジャグラー、フクイデ先生、ツルちゃん、ウルトラマントレギアと近年のメインヴィランは所謂「悲しい悪役」な面がありましたが、今回のセレブロは一切なし。遠慮なく叩きのめせる悪役は良いですね。願わくば変に掘り下げされて悲しい事情を背負わされないことを願います。

残念なのはクリヤマ長官に寄生してから一気に存在感が増したので今回のメインヴィランであったはずのカブラギ・シンヤくんの影が薄めだったのが可愛そうでしたね。何か見せ場無いかなー。と思ったら最終回で超ハイテンションでセレブロを捕獲。君そんなキャラだったっけ?こうしてセレブロは解剖されることになりました。インガオホー。

しかし・・・虫みたいな見た目の脆弱な体を持った寄生体で「シンヤ」に寄生・・・まさか元ネタは・・・。

特撮面はいつもどおりの高クオリティ。

今回の特撮で印象に残ったのは第16話の「ユカがあれこれ考えている背景で戦っているウルトラマンと怪獣」という風景。

今までも巨大特撮の戦闘と等身大の戦闘を同時に移す映像(所謂田口カット)はありましたが、ウルトラマンと怪獣の戦いという本来なら作品のメインになる映像を背景に使うというのが面白かったですね。

その一方で未消化に終わった謎もあって

・バコさんの過去

ストレイジのいぶし銀。バコさんことイナバ・コジロー。

キャラ紹介でも秘密を持っていることを示唆され、なにかと多芸な一面を見せては「昔ちょっとな」とはぐらかす。

結局、彼の秘密が明かされることはなかったですね。

・収束していないデビルスプリンター事変

物語の当初に重要なファクターであったウルトラマンベリアルの破片デビルスプリンター。

後半になると名前すら出てこなくなりましたが、デビルスプリンターによる怪獣の凶暴化は未だ解決してないはず。

この辺は劇場版で回収するのかな。トレギアみたいに書籍で回収とかやめてくれな・・・。

あと個人的に気になるのが「すっかり便利装置になってしまったベリアル」。

ウルトラの星に反逆した闇に落ちたウルトラマンなのに、もはや強大な力を言ったらベリアルって感じで出てきては憎き光のウルトラマンに良いように使われる始末。しかも制御するハードルが年々下がっていくというね。サンダーブレスターにアレだけ苦しめられたオーブは一体何だったのか・・・。

ついでにベリアログの見た目はなんとかならんかったのか。主人公が持つ見た目じゃないし、オーブカリバーに匹敵するおもちゃ感。ていうか生首ソードって・・・。正直最強フォームのバレが来た時にここまでガッカリしたのは初めてのことだった。

それと開発したアイテムをまたしても強奪されたウルトラマンヒカリ。いい加減警備をなんとかしろM78星雲。ベリアルのプラズマスパーク強奪はしょうがないとしても、ウルトラキー強奪事件から何も学んでないのか。ヒカリもヒカリで悪用防止のセキュリティをもっとしっかりしようぜ。悪用防止のアクセスキーが簡単に複製できちゃどうしようもないぜ・・・。

とまぁ、色々書き連ねてきましたが・・・

いい作品ってのは理屈じゃねぇんだよなぁ!!

こんなにおもしろい作品をリアルタイムで見れて私は幸せでした!!

最後に2つ。

その1。

ネットで物議を醸している(らしい)「技名を叫ぶウルトラマンエース」。

これについては私も違和感を覚えた側の人間であります。ていうか、ウルトラ十勇士の最後の連続光線発射の時にそれぞれが技名を叫んでいるのも違和感ありましたからね。

とはいえ、現代のウルトラマンは技名を叫ぶのが当たり前。技名を叫ぶようになったゼロの登場から10年経っているわけですし、現代の子供たちにとっては「ウルトラマンは技名を叫ぶ」というのがデフォルトなんじゃないかと思います。私は「特撮は時代を写す鏡」と思っているので、この考えで言うならこれが「現代のウルトラマンエース」ってことなんだろうと思います。まぁ、違和感は凄かったけどね。

むしろ・・・ファンとしてこんな事を言っていいのかと思うのですが・・・「エースの声がおじいちゃん」の方が個人的には受け入れられなかったり・・・。ウルトラの父の方が声若いんじゃないか?

オリジナルキャストである高峰圭二氏がまたエースを演じてくれたのはとてもうれしいのですが、ウルトラマンAの放送から既に50年近く。当時の出演者の皆様はご年配のお年頃。対してウルトラマンは不老不死に近い存在で歳を取るってイメージがないので、そんな存在から老いた声が聞こえるというのが違和感を覚えました。まぁ、人間だれでも老いるから仕方ないですよね・・・。

その2。

本作のシリーズ構成にしてメインライターの吹原幸太氏。

私はいままでこの方を存じ上げず訃報の報道で初めて知ったのですが、こんなにも素晴らしい作品を作れる方だったのですね。

もっとこの方の書いたウルトラマンを見てみたかったです。

素晴らしい作品を遺していただきありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。









-ウルトラマンの話
-, ,