この記事は2017/10/21に書いたものです。
ウルトラマンのデザインにおいてひときわ存在感を放つ胸のカラータイマー。
ウルトラマンが地上で活躍できるのは3分間であり、その制限時間を示してくれる器官。。
赤く点滅し、ピコンピコンと効果音を鳴らすことで子供たちにも分かりやすくウルトラマンの弱点とピンチを伝えてくれる大事な存在。
同時にコレ自体がウルトラマンの弱点でもある。ゼットンにこれを狙い撃ちされて敗北したシーンは多くの人にとってのトラウマだろう。(ちなみにもぎ取られると何故か体が萎む。)
なのだが、なぜウルトラ戦士がカラータイマーをつけるのか、どういう目的なのかという事は意外にも設定が安定しない。
というか、なぜウルトラ戦士は弱点を剥き出しにしてまでカラータイマーをつけるのだろう。
さらに、なぜウルトラマンには付いていてウルトラセブンには付いていないのかという大きな謎もある。
近年においてはこのカラータイマーはウルトラ戦士の心臓と直結しており、ウルトラ戦士の力の源であるプラズマエネルギーが詰まっているとされ、任務で長時間宇宙で活動する戦闘員が装着する物と設定されている。
セブンは元々戦闘員ではなく観測員だったから付けていないという設定になったのだが、今はもうウルトラ兄弟の三男という生きた伝説レベルの戦士なのだから付けてもいいのではだろうか。というか、主題歌では思いっきり「ウルトラセブン ファイター セブン」と歌われているのに戦士じゃないとはこれいかに。
更に言うと戦闘員ではないウルトラの母、元々科学者だったウルトラマンヒカリについてるのは矛盾してるし、M78星雲出身ではないウルトラマンレオ、アストラ兄弟に付いているのはそもそもおかしい。
まぁ、元々大して設定が考えられてなかったものに後付で何とかしようとしてるわけだし、どうあがいても無理だよね!
ちなみにウルトラマンが3分間しか活動できないという設定は帰ってきたウルトラマンから設定された物で、初代の頃は「地球上ではエネルギーを急激に消耗する」という説明がされていた。
また、ウルトラマンレオは2分40秒と中途半端な時間となっている。
そして、そんな時間制限を劇中では完全無視しているのがお約束。もはや形式美。
制限時間をあてにしてカップラーメン作ってみたりしようものならそこにはラーメンだった何かが出来上がっていることだろう。
さて、カラータイマーの話をする以上、この逸話を外すわけにはいかないだろう。
まずはこの画像を見てほしい。
所謂、変身バンクというものである。
ウルトラマン本編を見たことない人でも毎年正月に某農家兼アイドルな5人組がやっている番組を始めいろんなテレビ番組で見たことがあるシーンだろう。
しかし、よく見てほしい。なにか違和感を覚えないだろうか?
そう、ウルトラマンの胸にカラータイマーがないのである。
実はデザイン段階ではウルトラマンの胸にカラータイマーは付いておらず、現場で付けられたものなのである。
撮影の段階になって完全無欠のヒーローよりもヒーローに弱点があった方がより面白い作品になる。という理由からウルトラマンには時間制限という弱点が急遽設定されたのである。
その時に時間制限を子供の目にもわかりやすく、ウルトラマンのピンチを表現するための仕掛けとして用意されたのがカラータイマーというわけである。
変身バンクの映像はウルトラマンにカラータイマーが付けられる前に作られたもので今更作り直す予算もなくカラータイマーなしのまま最終回まで使用されることになる。
ウルトラマンの特徴と言える要素が現場で急遽作られたというのは中々興味深い話だろう。
さて、この唐突な後付けに異論を唱えるものがいたことは想像に難くないだろう。
ウルトラマンのデザイナー成田亨(なりた とおる)。彼はカラータイマーの存在を忌み嫌っていた代表者である。
その為、彼がウルトラマンのイラストを書く時はカラータイマーを付けていないことが多い。
彼にとってウルトラマンはスーツアクターを自ら指名してまで理想のデザインを追い求めた存在である。
そんなウルトラマンに急遽付けられた異物。彼がそれに対しどのような感情を抱いていたかは後年の彼のイラストを見れば一目瞭然だろう。
ちなみに、成田氏はウルトラセブンのデザインも担当するのだが、この時に今回はカラータイマー使わないのでカラータイマーなしのデザインで発注された。しかし、また後付されてはたまらんという考えから成田氏は予めセブンにカラータイマーの代わりとなる発光体を埋め込んだ。これがセブンの額のビームランプである。
でもって、このランプはカラータイマー代わりに使われることになり、成田氏の判断は大正解となるのである。