ウルトラマンの話

ゾフィー

2017年12月15日

この記事は2017/12/15に書いたものです。

©円谷プロダクション 「ウルトラマン」より

「ウルトラマン。私と一緒に光の国へ帰ろう。」

ゾフィーはM78星雲ウルトラの国の宇宙警備隊隊長にしてウルトラ兄弟の長男です。

宇宙警備隊の中では総司令兼大隊長のウルトラの父に継ぐ地位にあります。

ちなみに大隊長であるウルトラの父は16万歳、対してゾフィーは2万5千歳。

ちょっと間が空きすぎではないだろうか。10万年以上の間ウルトラの星はいい人材に恵まれなかったのだろうか。

ウルトラ兄弟の長男という所からわかる通り、実力もウルトラマンやウルトラセブンより上です。

もっとも、彼は地球には駐屯せず地球防衛は部下達に任せて必要な時に救援に駆けつけるというスタイルで地球防衛に貢献しています。

まぁ、宇宙警備隊の隊長だからね。彼が地球に行っちゃたら誰が宇宙警備隊の指揮を取るのかって話だし。

外見を見るとウルトラマンと瓜二つの容姿をしており、胸や肩にブツブツが付いているという姿をしていますが、これは元々「ウルトラマンの兄を登場させるからウルトラマンにそっくりな姿で見分けがつく物を付けてほしい」というデザイン発注によって生まれたものだからです。

結局、ウルトラマンの兄という設定は無くなった・・・と思いきや、後年にウルトラ兄弟という設定が確立されて別の形で実現することになりました。

胸のブツブツはスターマークと呼ばれる宇宙警備隊の中でも高い功績を残した者にのみ与えられる勲章肩のブツブツはウルトラブレスターという宇宙警備隊隊長の証という設定が付加されました。

ちなみに、スターマークを現在所有しているのはゾフィーと科学部門で命を固形化するという技術を生み出したウルトラマンヒカリの2人だけです。ゾフィーは怪獣軍団撃退という戦闘部門の功績でこれを授与されているので彼の実力の高さが伺えますね。

必殺光線として87万度の熱量を誇るM87光線を所持しており、どんな怪獣でも一撃で粉砕できると言われるほどの超威力を誇ります。

ただ、フルパワーで撃つとその星が崩壊しかねないらしく常々力をセーブしているようです。ちなみに、地球上で撃つとそのエネルギーで地軸が曲がるそうな。なんかわからないけどすごい威力だぞゾフィー!(え?ゼットンの炎は1兆度?あーあー聞こえんなぁ)

初登場となったのはウルトラマン最終回。

この回でゼットンに敗れてしまったウルトラマンを迎えに来たのが彼の初登場でした。複数のウルトラ戦士が共演したのもこのシーンが初めてですね。

ちなみにこの時は「宇宙警備隊のゾフィー」と名乗っており隊長ではなく一般の隊員だったようですね。・・・てことはウルトラマンメビウスの時点で隊長歴は長くても40年以下?万単位の時を過ごす彼らにとっては新米隊長もいいところですな。

その後、ウルトラセブンでは出番がなく、帰ってきたウルトラマンでは名前が出てくるだけに留まりました。

そして、ウルトラ兄弟の設定が確立されたウルトラマンAから本格的に客演することになります。

ここでは2対1の状況に苦戦するエースを救援に来たり、エースが苦手とする水中戦に追い込まれた時に池の水を完全に蒸発させて(なんて傍迷惑なことを!)支援したりなど大活躍。

また、ヤプールの罠で兄弟全員が絶体絶命の危機に瀕した時は真っ先に末っ子のエースを脱出させるなど「兄」としての側面も描かれました。

その後ウルトラマンタロウ、ウルトラマンレオにも出演。ウルトラマン80では客演の機会がありませんでしたが、これは他の兄弟達も同じ。

平成に入ってウルトラマンメビウスでは地球に駐屯こそはしていないものの、異星人の侵略を瀬戸際で食い止めてくれていた事が語られた他、全ウルトラマン因縁の宿敵にして作品のラスボスであるエンペラ星人との最終決戦でメビウスの救援に駆けつけ長き因縁にメビウスやGUYSと共に終止符を打ちました。

こう書くとラスボス単独で倒せないのかよメビウス。と突っ込まれそうですが、この時のメビウスはメビウスとヒカリという2人のウルトラマンとメビウスと絆を結んだGUYSメンバー達が融合した最終回限定の究極フォーム+ウルトラマンの光線のエネルギーを増幅させる最終回限定の最終兵器を使用という、普通の作品ならラスボスが木っ端微塵に吹っ飛んでもおかしくない状態でむしろこれに耐えてるエンペラ星人がスゴイ。ゾフィーはダメ押しの為に参戦してくれた訳です。最後のとどめはしっかりとメビウスが刺しています。

復活したウルトラの国の反逆者ウルトラマンベリアルの襲撃では、他のウルトラ戦士達が赤子の手を捻るように次々と敗北していく中、他のウルトラ戦士がチームで挑んであっさり敗北していったのに対し、こちらは共に立ち向かったウルトラマンとウルトラセブンが撃破された後も単身でベリアルとそこそこ渡り合うなど、他のウルトラ戦士とは一味違った強さを見せつけました。

今後もウルトラ兄弟最強の戦士として活躍が期待されます。

頑張れゾフィー!負けるなゾフィー!

ウソではないです。

ここにあげた輝かしい記録の数々は決してウソではない。

だがインターネットでソフィーを検索すれば分かるだろう。

このゾフィーという戦士がウルトラ屈指のネタキャラとされている事に!

というのも上記では活躍を紹介しましたが、ゾフィーは負けの回数も決して少なくないのです。

例えば本格的に客演を始めたウルトラマンAではヤプールの罠にはまって十字架に貼り付けにされてしまったり、エースをブロンズ像に変えたピッポリト星人に兄弟達と立ち向かうものの初手でブロンズ像にされてしまうなど情けない姿も見られました。

そして続くウルトラマンタロウ。

その第18話「タロウが死んだ!ゾフィーも死んだ!」(ひでぇタイトルだ)においてはタロウを倒した強敵バードンに立ち向かうも、頭を燃やされたあげく池の中に叩き落とされ最後はクチバシを突き刺され「いっっってぇ!」と叫びながら絶命し、挙句の果てに死体が1日放置されるというウルトラ兄弟最強の戦士の威厳が全くない悲しい姿を晒しました。

この、ウルトラマンの頭が燃えた挙句、怪獣に池に叩き落され消火されたという絵面は視聴者に痛烈なインパクトを残し、ゾフィーを語る上で外せない伝説となってしまいました(ちなみにこの流れは全て意図された演出)。

©円谷プロダクション 「ウルトラマンタロウ」より

それでも受難は終わらず、タロウが日頃お世話になっている兄達に地球の美味しいものをご馳走しようとバーベキューパーティーを企画した時には、弟たちを先に地球へ行かせて自分は念のために地球周辺の見回りをしてから行くという宇宙警備隊隊長に相応しい行動を取りました。が・・・

タロウ「ゾフィー兄さんを待ったほうがいいんじゃ・・・」

セブン「ゾフィーのことなんかいいよ。」

ジャック「俺たち腹ペコなんだよ。」

と、弟たちに敬われていない疑惑が発生。弟たちはゾフィーを待たずにバーベキューを開始。その後、異星人の襲撃があって結局ゾフィーは食いっぱぐれる事になりました。

しかも、よくよく映像を見てみるとタロウはバーベキューの串焼きを4本しか事前に用意しておらずゾフィーが来ないことを計算に入れていた可能性まであります。

更にウルトラ戦士たちへの怨念が形になった合体怪獣タイラントが出現した際には、その出現を真っ先に察知し迎撃に現れましたがタイラントにあっけなく敗北してしまいました。

この時ナレーションで「無敵のゾフィーが敗れた」と言われるのですが、ウルトラファンからは「散々敗北しているのに無敵www」「無敵のゾフィーが敗れた(笑)」などとネタにされてしまいました。

ウルトラマンタロウという作品はゾフィーの今後を決定づけてしまった作品ですな・・・。

そして、こういった散々な姿を晒しているにも関わらず書籍やビデオ作品ではそういった姿を隠され持ち上げられているので「ゾフィーの捏造」というネタが生まれる事になりました。

で・・・ファンのネタだけなら良かったのですが残念ながらウルトラシリーズを作っているのは悪ノリ大好き円谷プロ

エイプリルフールネタとはいえ、上記のバードン戦の事を揶揄して「ミスターファイヤーヘッド」と呼んだりゾフィー本人に「後で都合の悪いところカットしといて」と言わせるなどネタを自ら加速させやがりました(ちなみに、同じようにエイプリルフールネタの犠牲になったウルトラマンにウルトラマングレート先輩がいる)。

更にゾフィーのアクションフィギュアに頭が燃えるパーツを付けるなど、円谷謎のこだわりを悪い方向に発揮してしまいます。

流石にやりすぎたと思ったのか近年はそういう弄りは無くなりましたけどね。

さて、なぜソフィーがこんなネタキャラになってしまったのか。

簡単に言うと「ゾフィーは主役作品が無いから」の一言に尽きるでしょう。

まず、敗北そのものはゾフィー以外のウルトラマンも数多く体験しています。しかし、他のウルトラマンたちはその敗北以上に本編で活躍しているので敗北のイメージがつきにくいです。

しかし、ゾフィーは主役作品がなく戦闘回数も少ないため敗北の印象が残りやすい状況にあります。

その上に脇役であるため主役以上に活躍することができないのです。ゾフィーが活躍しすぎると作品が「ウルトラマンゾフィー」になっちゃうからね。言い換えると彼は勝利することを許されない立場なのです。

彼の「ウルトラ兄弟最強の戦士」という立場も悪い方向に働いてしまいます。

皆さん適当なバトル漫画を思い浮かべてください。その作品に「高い実力を持つ最強候補」に「素性不明の無名の新人」が挑むことになり「おいおいおいおいあいつ死んだわ」的な状況で、新人が最強候補を打ち破り「な、なんだあいつは!めちゃくちゃ強いぞ!」みたいな事になる流れ。よくありますよね。

そう、ゾフィーは高い実力を持つ設定故に「高い実力を持つ最強候補」の立場になってしまうのです。

実際のところピッポリト星人、バードン、タイラントといったゾフィーを倒した事がある怪獣たちはシリーズでも強敵として描かれていますし、ゾフィーを倒した事が彼らの強さの証明として扱われています。

上述のバーベキューパーティーに参加できなかったのも主役作品がないから人間態が無かったのが原因です。

ウルトラマンの姿で食べ物をむしゃむしゃするわけにもいかないので、各作品の主役を演じた俳優たちが大集合するというファンサービスを兼ねた演出になっていたのですがゾフィーは人間態が無かったのでこの俳優大集合に参加できなかったんですね。

ゾフィーのことを敬っていないように見えるセブンの言動も現代ではゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブンの三人は対等な立場という事が明かされており、それを踏まえればセブンがゾフィーに失礼な言動を取るのもおかしくはないと言えます(ジャックとエースはフォロー無理だ)。

ゾフィーネタの裏にメタい大人の事情があるわけですね・・・。

だが、円谷。お前たちの悪ノリはぜってぇ許さねぇ!!byゾフィー

そして時は流れ2017年。

ウルトラマンオーブの後日談「ウルトラファイトオーブ」が放送。

その中でゾフィーはオーブの助っ人に参戦します。

そのゾフィーの対戦相手として選ばれたのはなんとあのバードン

この因縁の対決に円谷プロも主役のオーブを差し置いてゾフィーVSバードンの構図を全面に押し出し、Youtubeの公式動画配信でもこの対決をサムネイルに指定するなど攻めの姿勢を見せました。

そして本編。攻撃を仕掛けるゾフィーに対しバードンは彼をネタキャラに陥れた火炎放射で対抗。

これによりゾフィーは頭が燃えるどころか全身を燃やす事になります(ミスターファイヤーボディ?)。

しかし、ゾフィーは怯むことなく炎をいとも簡単に消火。そのままバードンを一方的に叩きのめして勝利。実に44年ぶりのリベンジを果たす事になりました。 

©円谷プロダクション 「ウルトラファイトオーブ」より
頭どころか全身が燃えたゾフィー兄さん

これからも成長を続けるゾフィー兄さんの活躍を乞うご期待!

(なお、タイラントには勝てなかった模様)









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