ウルトラマンの話

ウルトラマンR/B 感想

2019年1月27日

この記事は2019/01/27に書いたものです。

©円谷プロダクション 「ウルトラマンR/B」より

ウルトラマンR/B感想

シリーズ初のダブル主人公や家族の物語を前面に押し出したホームコメディ風。終始明るい雰囲気で楽しく見れる作品でした。昭和ウルトラマンではウルトラマンタロウが一番好きな私にストライクな作風でしたね。

今回登場したダブルヒーローがお互いに変身アイテムを共有するスタイルは画期的だと思いますね。4つのクリスタルを2人で共有するので最近の特撮物でよくある「あのフォームの影がうすい!」というのがほとんど無かったですね。

更に前作の反省を活かしたのか中間フォームを廃止したのでフォームチェンジが少なくなり、それぞれの活躍を存分に楽しめるものになりました。

戦闘中も戦い一辺倒ではなくてカツミとイサミとして兄弟らしいコミカルなやり取りやしょうもない兄弟喧嘩をしていたのが印象的でした。さすがにしょうもない事で喧嘩しすぎだと思うけど、兄弟ってそんなもんだしな。

オーブやジードが成長して「自分はウルトラマンだ!」となっていったのに対し今回のカツミとイサミは「俺たちはウルトラマンである前に湊カツミと湊イサミだ!」とウルトラマンとしてよりも1人の人間として成長していく形でしたね。

戦士として力を取り戻し成長したオーブ、紛い物から本物へと成長したジード、ウルトラマンのとしての戦いを通して1人の人間として成長したロッソとブル。と差別化が図られ違った魅力を持つ作品になっていきますね。この「ウルトラマンとしてではなく人として」という所もどことなくタロウっぽいな。あちらは最終的にウルトラマンに変身する力すら返上しちゃうけど。

でもって、カッコいいヒーローがアドバルーンで遊んでたり、滝で頭を洗ってたりとコミカルな事をやってるあたりもタロウ(とマックス)に近いな。つまり私の好きなやつだ。

そんな兄弟と対峙する悪役「愛染マコト」。

ジャグジャグ、フクイデ先生と魅力的な変態悪役が続いたウルトラシリーズで今回はどんな悪役が出てくるのかと思えば、まさかのウルトラマンオタク。しかも面倒くさいタイプのオタク。しかも、自分がウルトラマンに変身するというオタク達の夢を叶えやがったオタク。

自分自身の身勝手なウルトラマン像を押し付け湊兄弟を一方的に糾弾したり、自分で怪獣を召喚して自分で倒すという自作自演(当然、その度に街は破壊され人々は命の危険に晒される)をしたりという自己中心的な外道野郎。自分で作ったウルトラ通信簿の採点項目自分も達成できてないだろこいつ。

でありながら普段のコミカルな言動やウルトラマンとして相応しい存在になる為に日々のトレーニングを欠かさなかったり、湊家の親父、湊ウシオの作ったワケのわからん謎Tシャツをちゃんと評価して着用してくれたり、自分が変身したウルトラマンを「ダークノワールブラックシュヴァルツ」とか命名しちゃったりと許せないド外道と憎めないネタキャラが同居した魅力あるキャラクターでした。そして最後は空気清浄機に倒されるという。いい悪役故に途中退場になったのが残念でしたね。いい悪役の系譜はまだまだ続きそうです。

不満な所

と、良いところを挙げてみたものの、正直言わせていただけるならエックス、オーブ、ジードと見てきた身としては今回のR/Bはイマイチというか物足りないというか。

悪い作品では無いんですけど今までの作品に比べてワクワク感が無いというか。

とりあえず見てて思ったことをあげると

1、代わり映えしない

財団Bやその他諸々との兼ね合いがあるのは重々承知なのですが、まーた歴代戦士ぃー?まーた、この怪獣ぅー?というのがね。いい加減ブラックキング見飽きたぞ。

歴代の再登場をさせるにしても(それこそ今回のブースカみたいに)普段スポットの当たらない怪獣やヒーローを出してくれれば見た目的にも大きく変わるんですが出てくる歴代要素が同じのばかりなのはニュージェネシリーズの難点ですね。

まぁ、マイナー怪獣を出そうとすると結局着ぐるみを新調しないといけないので予算的に新しい怪獣出すのと対して変わらん事になるからこうなってるというは分かる。マイナー怪獣じゃ売れないしねぇ。

ここが現在の仮面ライダーとウルトラマンの力の差だと個人的に思ってるんですが、仮面ライダーにおいて歴代要素というのは現在のジオウみたいな記念作品や劇場版作品での「特別」な物なのに対し、ウルトラマンにおける歴代要素はこれが無いと作品を作ることすらできない「最低条件」となっているのが現状。言い換えれば仮面ライダーは作品単体で勝負ができるのに対し、ウルトラマンは作品単体では舞台に上がることすらできないというわけで。このまま過去の財産を食いつぶし続ける様だと先細りしていってしまうんじゃ無いかなぁと心配になるわけです。

2、イサミの扱い

シリーズ初のダブル主人公として登場したイサミ。

初めはたしかにもう1人の主人公って感じでしたが、2人が合体してウルトラマンルーブになったあたりからカツミと扱いの差が出てきた様な気がします。

変身プロセスではカツミが極クリスタルを持ってジャイロを操作、決め技の光線を撃つ時もルーブ光輪を持っているのはカツミ。じゃあイサミはどうしてるのかというと、変身の時は見てるだけ、光線の時は後ろで同じポーズしているだけ。

これイサミいる?とは誰もが思ったはず。

そして極め付けは現在放送しているウルトラマンニュージェネレーションクロニクルのメインビジュアル。まずは実物をご覧いただきたい。

©円谷プロダクション

ロッソ&カツミが単独センターになっとるぅ!!

ダブル主人公とは一体なんだったのか。

例えばルーブへの変身プロセスでカツミが二本角の極クリスタル、イサミが一本角の極クリスタルを持っててそれぞれジャイロを操作。そしてクリスタルとジャイロが融合して融合して真の極になる。とかやり様は色々あったと思うんですが、現状だとイサミを途中退場させてロッソとブルの力を持ったカツミだけで戦ってた方がいいんじゃないか。と言いたくなります(これはこれでガイアの二番煎じだけどね)。

2人がかりの事をやってしまうとウルトラマンAの時の様になってしまうと思ったのかもしれませんが、もっと、もっと平等に扱ってあげて欲しかった。

もっとも、後半になるとアサヒと美剣が中心になっていって主人公二人とも影薄くなるんだけどね・・・。

3、ラスボス ルーゴサイトの扱い

「星を喰らうもの」「地球もろとも爆破しないと倒せない」とかとか、やけに仰々しい設定の割には(ルーブを苦戦させてたとはいえ)あっさり倒されてしまったルーゴサイト。ツルちゃんと喧嘩別れしてなければ協力して簡単に倒せたのでは?

プロ野球で数々の輝かしいタイトルを引っさげて来日したらオープン戦は調子良かったけど本シリーズでは全く活躍できなかったダメ外人みたいな事になってましたね。

まぁ、これに関しては今までのラスボスが異質すぎたというのが大きいかもしれないけど。

4、美剣サキの存在

ツルちゃんを熱演してくださった役者さんには大変申し訳ないのですが、結局のところ自分勝手な考えで地球を巻き込んで暴走し自分勝手な価値観でウルトラマンの邪魔をして勝手に満足して死んだ自己中女にしか思えん。

こいつによってルーゴサイトの情報が主人公サイドにもたらされたのは事実ですがそれが無くてもミオが帰還すれば情報は手に入りますし、こいつの暴走で事がうまく進まない様にしか思えなかった。というのが正直なところ。

愛染社長という魅力的なキャラクターを途中退場させてまで出す意味があったのか。

5、アサヒの正体

放送開始前から設定的な矛盾で怪しいと思わせ、中盤で明確に湊家の家族では無いと示唆され一体何者なんだ・・・と多くの視聴者が考察していました。が

「アサヒ・・・君はクリスタルだったんだな。」

・・・ってそれだけ!?なんか物語の根幹に関わる大きな秘密とか無いの!?散々引っ張って来てそれかい!って感じでした。

6、「ウルトラマンルーブ」登場の流れ

最強フォーム「ウルトラマンルーブ」。

今まで最強フォームといえば

・大地の命がけの行動で手にしたエクスラッガーと深まった絆で発現したウルトラマンエクシードエックス。

・ガイが自らのトラウマと心の闇を乗り越え光を取り戻したウルトラマンオーブ オーブオリジン。

・リクは自分の父親を、ライハは自分の過去をそれぞれ乗り越える決意にウルトラマンキングが力を貸してくれてたウルトラマンジードロイヤルメガマスター。

と登場に至るドラマがあったものですが、今回のウルトラマンルーブは

ウルトラマンクリスタルとベリアルクリスタル(またお前らか)がなぜか使えない→そのことを巡って兄弟喧嘩勃発→怪獣によってアサヒがピンチ!→喧嘩してる場合じゃないアサヒを守るために戦うんだ!→なぜか使えるクリスタル→ルーブ登場。

ドラマがジョボい!兄弟喧嘩やめて家族のために戦うんだって思いとクリスタルがどう反応したのか全くわからない!そんなんでいいのか最強フォーム!

待てよ、このあっさり加減も実は伏線で、アサヒがピンチになったからクリスタルがアサヒを守ろうとしたのか。とか考えてたんですがそんな事もなかった様で。

裏を考察するのは簡単ですが見たまんまがショボいのはどうにも・・・。

とまぁ、こんな感じでなんか見ててワクワクしなかったというか、この続きはどうなるんだろうって感じが無かったというか。愛染社長がオーブダークに変身して、明確にコイツを倒さなければならない。越えなければならない。という展開だった中盤は面白かったんですけどそれが終わるとどんどん先細りしていったなぁ。という印象。

なのでちょっと物足りなかったかなぁ。次回作はどうなる事やら。

年号も変わるしマンネリ脱却のいいタイミングだと思いますがどうでしょう。

3月には「劇場版ウルトラマンR/B セレクト 絆のクリスタル」が公開されますね。

こちらは当然、映画館で見させていただきますよ!今年の3月も年に一回しか行かない遠くの映画館へ遠征だ!

頼むからもっと上映館ふやしてぇ・・・。









-ウルトラマンの話
-,