この記事は2019/03/09に書いたものです。
ジープ
ジープとは第2次世界大戦中アメリカ陸軍補給部隊が開発した前部,後部の全車輪が駆動する四輪自動車で,アメリカのウィリス=オーバーランド社が商標権をもつ。万能車のゼネラル・パポーズ・カーからの作語といわれるが,この種の自動車の一般的呼称として使用されている。通常の四輪車と比べて駆動力が大きく,各種作業用や悪路などの不整地走行用などのほか,娯楽指向の乗用車としても利用される。他の名称として,商標名からランドクルーザー (小型のものをローバー) ,ゲレンデ・バーゲンなどがある。
ブリタニカ国際大百科事典 より
だが、ウルトラファン・・・いや、特撮ファンにとって「ジープ」という言葉で連想するのはただ一つ。
すなわちウルトラマンレオ第6話「男だ!燃えろ!」の特訓シーンである。
ウルトラマンレオ第6話
この回では宇宙の通り魔と呼ばれるカーリー星人が出現。通り魔多くないっすか?
その強力な突進攻撃になす術なくレオは敗北してしまう。
そこでウルトラマンレオことおおとりゲンはカーリー星人に対抗するべく突進攻撃を回避する為の特訓を始める。
巨大な丸太を振り子の様に吊るし、自分に向かってくる丸太を回避する特訓を始めたゲンだが何かが違う。
丸太の先端を削り巨大な杭に変えてみるもそれでもゲンは何も掴めずにいた。
そこに現れたのはウルトラセブンことモロボシ・ダンであった。
ダン「丸太には殺意がない」
そういうとダンはゲンをある所へと連れて行った。
場面は変わって・・・
ゲン「たいちょー!!やめてくださーい!!」
悲痛な叫び上げるゲン。
巻き上がる砂埃
唸るエンジン音。
そこには・・・。
ジープでゲンを追い回すダン。
と
全力でジープから逃げるゲン。
の姿があった。
ちなみにこの時のゲンはヘルメットやプロテクターなどの類は一切装備しておらず柔道着一枚である。
必死に逃げ回るゲンに対してダンは
ダン「逃げるな!車に向かって来い!」
と檄を飛ばす。無茶を言うな。
ゲンは意を決してジープに立ち向かい恐怖心を克服。その後のカーリー星人との再戦では特訓の成果を活かして見事に勝利をおさめた。こうしてゲンはまた一つ強くなったのであった。
ウルトラファンにとってのジープ
とまぁ、いい感じに終わる話ではあるのだが本気でゲンを轢き殺そうとするダンの姿は視聴者に強烈なインパクトを残し特撮の話題で単に「ジープ」と言う単語が出たらこの事を指す程になった。
ウルトラマンレオを知らない人からすれば「さすがに追いかけ回しているだけで本気で轢き殺そうとなんてしてないでしょ」と思うかもしれないが、ダンが上述の丸太特訓を打ち切らせたのは「丸太には殺意がないから」である。つまりこの特訓に必要なものは「殺意」ということであり、何よりやる。この頃のダンならゲンを轢き殺すぐらいはやる。そう断言できるほどウルトラマンレオ初期のダンは容赦のない人物だった。
印象に残っているのは演者も同じで、ウルトラマンレオの作品紹介でも触れたがレオの特訓は全てスタントマンを用意せずにゲン役の真夏竜氏本人が挑んでおり、真夏氏はこの特訓に対して「恐怖の演技が素晴らしいと褒められたが俺は演技なんかしてない(意訳)」と発言しており色々な意味で「ガチ」だった様である。映像では轢かれかけている様に見えるが、実際にバンパーが足に当たっていたらしく轢かれかけているのではなく、ガチで轢かれていた様である。
これ以降ウルトラセブンの口から「特訓」「修行」と言う言葉が出ると「ジープか!」という反応をされる様にもなっており、もはやセブンといえばジープと言える程になってしまっている。
設定によるとセブンはウルトラの星で宇宙警備隊の教官を務めていた時期があるらしく、ファンの間ではいったいどれだけのジープを使ったんだ・・・と言われたり、ウルトラマンオーブを主役とした短編「ウルトラファイトオーブ」ではセブンとウルトラマンゼロがオーブに修行を行う場面があるのだが、修行の内容は不明で10年間修行したと言うことが語られているだけなので、10年もの間ジープで追いかけ回したのか!とか言われたりするなど、ここまで来るとファンにとってはトラウマと言えるレベルである。
一方でジープの映像ばかりに目がいってしまう話だが、この回でゲンは自主的に丸太特訓を始めており今までダンに言われた通りの修行しかできなかったゲンが自分で足りないものを考え修行を始めるという彼の成長を感じる話にもなっている。ダンの発想がぶっ飛びすぎている所為でまだまだその領域には至れない様ではあるが。
そもそもこんなジープどこから持ってきたんだよ。とツッコミが入ることもあるがこのジープは防衛チームの正式装備であり後の話でも対宇宙人の作戦行動に使用されているのが確認できる。
衝撃の事実
ログタイトルから本文まで散々ジープと言ってきたが、
この特訓に使われた車はジープではない。
実際に使用されたのはトラックで有名なメーカーいすゞが当時発売していたユニキャブという車である(一番上の画像もそれ)。
この車は見た目こそジープっぽいがジープの様な悪路走行ではなく舗装路での使用を前提とした車であり、早い話がジープ風の乗用車である。
でも、見た目ジープだしみんなジープって言ってるからこの特訓は「ジープ」でいいのだ!