この記事は2020/05/02に書いたものです。
歴史的偉業を目撃してしまったので書かざるをえない!!
QWOPフルマラソンとはYoutubeの片隅でひっそりと達成された異形偉業である。
QWOPとは?
そもそもQWOPとは何なのか。というところから話をしなくてはならない。
QWOPとはインターネット上に公開されているフリーゲームであり、内容は100m走+走り幅跳びといった感じで陸上選手を100m走らせて最後に幅跳びをさせるだけ。である。
・・・が、タイトルとなっている通り、陸上選手を動かすにはキーボードの「Q」「W」「O」「P」キーを巧みに使って操作しなくてはならず、その独特の操作性のため初見のプレイヤーは「100m走る」どころか「3m歩く」事すらままならない。というわかりやすいネタクソゲーである。
このため多くのYoutuber、Vtuberがプレイしてはリスナーを楽しませていたゲームである。
実際にQWOPをやってみたい方はコチラからどうぞ。
http://www.foddy.net/Athletics.html
挑戦者 八重沢なとり
.LIVE所属Vtuberチーム「アイドル部」。そこに一人の少女がいる。彼女の名は「八重沢なとり」。彼女もまたQWOP配信をしたVtuberの一人である。
ただ、彼女が他のVtuberと違ったのは初期からこの激ムズゲーが上手かったということでありプレイ開始からわずか20分で100m完走を達成している(しかも雑談しながら)。また、プレイするためのブラウザ厳選までしており「ブラウザによって浮遊感が違う」というコメントを残している他、一時期「QWOP ヤベー奴」で検索するとなとりの動画が出てくるなど、彼女とQWOPは切っても切れない縁で繋がっており、リスナーからは「QWOPマスター」の称号が贈られている。もっとも、彼女はこのゲームに対して「時間は有限だという事を教えてくれるゲーム」というなんとも言い難い評価をしていた。それでも気に入っているようでちょくちょくこのゲームをプレイしていた。
異変が起きたのは2020年4月14日の事であった。
なとりのTwitterにて突如この様なツイートが投稿されたのである。
突然のQWOP配信の告知。さらに「フルマラソン」の文字。
「またQWOPをやるのか。」「てか、フルマラソンってなんだ?QWOPは100m走じゃないのか?」「一体何が始まるんです?」と多くのリスナーがざわつく中、2020年4月15日16:00。その時は来た・・・。
挑戦の内容はこうだ。
QWOPは走るのに失敗しコケてしまうとその時点でGAMEOVERとなるルールである。この時、進んだ距離が表示されるのだが、この距離を合算してフルマラソン=42.195Kmを越えたらクリアというものである。
また、記録が5m以下の場合は加算しない。これはQWOPは初期位置で倒れ込むだけでも1m稼げたり、倒れ方が悪いと結果がマイナスになってしまうため不正や減算を防ぐための処置である。が、普通にプレイしていると5m越えも難しいので、ただでさえ地獄のような苦行に縛りまで設けるという、もはや挑戦というか修行か何かの有様。なとり本人ですらこの挑戦を「地獄」と称し、一人その地獄へと赴いた。そのチャレンジ精神に惹かれたリスナー達、彼女の配信に倣ってここでは「米粒さん」と呼ばせていただくが、米粒さん達もまたなとりと共に地獄へ赴いたのである。
そして挑戦開始から35時間35分9秒(+約4時間ほどの休憩時間あり)日付を二つまたぐ大挑戦の果てについに42.195Km走破を達成。彼女はQWOPの歴史に名を残したのであった。
ちなみに上述の通り5m以下だった記録は加算していないので実際は43Kmぐらい走っていると思われる。
ちなみに配信中ひたすらQWOPだけをしていたわけではなく、ゲームは操作しながらも雑談や歌を歌うなど、なとりはVtuberとしてのエンタメもしっかり米粒さん達に提供していたので配信は終始和やかなムードで続けられていた。故に「画面さえ消してしまえばただのラジオ」とか言われていた。何が主役だったっけ?
それでもQWOPに集中しすぎて無言になってしまう事もあり、その間はBGMだけが流れる静寂の中で延々とQWOPを見せられることになってしまったので正に地獄の様な苦行であった。
なとり本人は「この挑戦は一人では無理だった。米粒さん達がいてくれたからできた。」と語っているが、米粒さん達が飽きる事なく配信を見続けていたのも彼女の力である事は間違いない。
この挑戦の影響
この偉業はなとりと米粒さん達の間だけには留まらずネット界隈に大きな影響を与えた。彼女の挑戦に触発され、なとりのデザインを担当したイラストレーターがQWOPの並走を始めたり、現役のプロゲーマーが初めてのQWOP走破に挑んで中々クリアできずTwitterでなとりの事を「師匠」と呼んで助けを求めたり、毎日QWOPの記録を公開している現役のQWOP走者が同じくQWOPフルマラソンに挑むという後に続く者まで登場してしまった。
この挑戦は日本国内だけでなく海外にも広く知れ渡り、なんとQWOPの作者にまで知られる事になった。そして、フルマラソンを完走した際には作者からTwitter上にて「one of the best QWOP players I’ve ever seen(訳:私が今まで見た中で最高のQWOPプレイヤーの一人)」と称賛された。
今回の一件で日本国内のみならず世界中に名前を知られた八重沢なとり。彼女の今後の活躍に注目である!
(まぁ、卒業しちまったんだけどな・・・。)