この記事は2020/12/15に書いたものです
帝王
なんとも厳格で高貴な響きである。
同じ王を示す言葉でも「国王」と「帝王」だとなんとなく後者の方が凄い感じがするものだ。
ちなみに、言葉の意味合い的にも帝王の方が位が高い。「国王」はひとつの国を収める王を指す言葉だか、「帝王」は複数の国を支配する王を指す言葉であり、一人の帝王の下に複数の国王が存在しているのである。
ちなみに似た様な言葉に「皇帝」というものもあるが、こちらは帝王とほとんど同じ意味であり、使われた地域の違いぐらいしか違いがないそうだ。
さて、皆様はウルトラシリーズに宇宙を統べる「宇宙の帝王」がいる事をご存知だろうか。
地球に降臨し、人々を恐怖に陥れた(?)宇宙の帝王。
その名は・・・
宇宙帝王バド星人
宇宙帝王バド星人
さて、まずは帝王陛下のお姿を拝見しよう。
恐れ多くも宇宙を統べる帝王陛下である!皆の者!頭を垂れよ!これが宇宙帝王のお姿だ!
・・・なんだこのケツ頭の猿は・・・?
コホン。
古来より人間は見た目より中身だと言う。見た目がケツアタマザルでもその実力は高いに違いない!なにせ宇宙の帝王だからな!!
劇中の活躍
それでは、帝王陛下の輝かしい活躍をご紹介しよう。
帝王陛下が地球に降臨されたのはウルトラセブン第19話「プロジェクト・ブルー」。
元々、帝王陛下は自分たち以外の知的生命体が宇宙に存在することを許さず(その割には宇宙にはさまざまな生命が存在しているわけだが・・・)、地球がまだ火の玉だった頃に太陽系を訪れ冥王星にあった文明を滅ぼしたと言われている。
その後、かつて火の玉だった地球に命が生まれ、生意気にも文明が発達していることに怒った陛下は地球人類を根絶やしにするために地球へと向かう。
が、地球では月と地球の間に防衛バリアを構築する計画「プロジェクト・ブルー」が進行しており、陛下の乗った宇宙船はバリアによって損傷。地球に墜落してしまう。
帝王なのにバリアすら見抜けな・・・コホン
やるな地球!まさか帝王ですら見抜けないほどのバリアを展開するとは!
形はどうあれ地球に潜入した帝王はバリアをなんとかするためにプロジェクト・ブルーの責任者であるミヤベ博士を狙って隠密行動を開始する。
テイオウミズカラガ・・・!?
ミヤベ邸に潜入すると、博士の嫁を人質に取るなどしてバリアの情報を聞き出そうとするも乱入したウルトラ警備隊によって帝王は射殺される。
帝王の野望ここに潰えるかと思われたが、すぐさま特殊能力で姿を隠したいた別の帝王がウルトラ警備隊を奇襲。帝王何人いるんだ・・・?きっとさっきのは影武者だったんだろう。多分。
しかし、奇襲を仕掛けた帝王もすぐさま返り討ちにあって射殺された(弱くない?)。
しかし、すかさず三体目の帝王(だから何人いるんだ帝王・・・)が出現し「地球を破壊できる強力な爆弾」があることをダシにその場から脱出。宇宙船にて逃走を図るが出現したウルトラセブンに追いつかれると自らも巨大化してセブンに立ち向かった。
ついに宇宙帝王の恐るべき戦闘能力がセブンに牙を剥く!
・・・と思われたが・・・
バド星人の恐るべき戦闘能力及び武器
・光線銃
バド星人の主力武器。人間サイズなので巨大化すると使えない。
・透明化
自分の姿を隠して奇襲することが可能。でも、奇襲しても即座に対応されて即殺される。
セブン戦では未使用。
・鏡の中に移動できる
これを利用してミヤベ邸の鏡の中に前線基地を作った。
でも舞台が山中で鏡がなかったためセブン戦では宝の持ち腐れ。
・岩なげ
その辺にあった岩を相手に投げつける。
その辺にあるものを武器にするスタイルで戦う場所を選ばない。
・ボディプレス
ご存知、自らの体重を武器に変えるプロレス技。でも、こいつ身長40mなのに体重5000t(セブンの7分の1)の超軽量級なので大したことはない。
しかもセブンに避けられ自傷ダメージを負った。
・宇宙メリケン
いわゆるメリケンサック。
一見ただのメリケンサックだが何もないところからいつの間にか取り出せるあたりが宇宙なのだろう。
以上。
光線技?ありませんよ?
セブンに対し、特殊能力を一切使わず己が身一つのプロレススタイルで挑む帝王。
その漢気に惚れたのか、セブンもまた光線技を一切封印して帝王に挑んだ。が、帝王とセブンの力の差は歴然であり帝王は徐々に追い詰められていく。
自分の敗北を悟った帝王はセブンに対して大人しく降参をした・・・と思わせていつの間にか装着していた宇宙メリケンで不意打ち
を仕掛ける。
卑怯?帝王は勝つために手段は選ばないのだ!
しかし、その不意打ちも大したダメージは与えられず、それどころか不意打ちによって一切の手加減を捨てたセブンに投げ飛ばされ大岩に後頭部を強打。血の泡を吹き、痙攣しながら帝王は絶命した。
試合時間1分13秒。1R K.O.負け(しかもセブンは一切光線や特殊能力を使っていない)であった。
これが宇宙帝王の全てである。
なんと言うか・・・まぁ・・・
その肩書き返上した方がいいんじゃないかな?
本編での情けなさすぎる行動に加え、後に登場した「帝」の名を関する者たちが尽く超大物であったこともあり、バド星人はすっかり宇宙帝王(笑)とネタにされることになってしまった。
ちなみに光線や特殊能力を一切使わないプロレススタイルの戦いになったのは当時プロレスが流行ってたからというなんとも安直な理由から。このため戦闘シーンにプロレス風の実況を付けて再編集したウルトラファイトとの相性がとても良いと思われたが、肝心のウルトラファイトではバド星人の回は未収録である。理由は戦闘時間が短すぎて尺が足りないから。どこまでも不憫な帝王(笑)である。
その後、再登場の機会には恵まれていなかったがウルトラマンジードの時代になって怪獣倉庫から偶然にもバド星人の頭部が発見され、ジード本編にて遂に再登場。他の宇宙人に雇われ、ウルトラマンジード=朝倉リクを牽制するためのスナイパーとして登場した。
・・・帝王なのに出稼ぎっすか?
続くウルトラマンR/Bでも登場し、ここでは地球に暮らしている個体が宇宙人テレビ局のインタビューに答えていた。この個体は湊ウシオ作成の「うちゅ〜んTシャツ」を着用しており、劇中で語られた所によるとバド星ではうちゅ〜んTシャツを巡って星全体を巻き込む戦乱が発生したという。
Tシャツ巡って世界大戦起こすとか帝王何やってんですか・・・ていうか、地球に同胞いるんだから送ってもらえよ。
と再登場の扱いも帝王(笑)な感じであり、スタッフとしてもネタキャラとして扱っているようである。
宇宙帝王(笑)バド星人。
彼が本当に宇宙の帝王になれる日は来るのだろうか・・・。
まぁ、初登場から数十年後に汚名返上した例もあるから気長に待ってみよう。
余談
元々現在のバド星人はバド星人ではなくシャプレー星人としてデザインされていたが撮影段階になって急遽入れ替えられたとのこと。確かにケツアタマザルよりはシャプレー星人の方がまだ帝王っぽい見た目だが、本編の活躍がこれではどちらにせよ宇宙の帝王(笑)扱いは避けられなかっただろう。特に現代では見た目も中身も活躍も正に帝王の名に相応しいエンペラ星人がおるしねぇ・・・。