当記事にはネタバレが多分に含まれています。ご注意ください。
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家族
ひょんなことから怪獣の子供を育てることになった本作のウルトラマンことサトウ・ケン。
はじめはウルトラマンになったのも、怪獣の子供を育てることになったのも成り行き、更には海外でメジャーリーガーとして活躍していたのに日本の野球チームに入ることになったのも先代ウルトラマンの父親の都合に振り回された結果という、自分が望んだわけじゃないことをやらされて。
一方でチームの和を重んじなかったり、父親と関係が悪かったり人間的な問題も大きく抱えていたのが、あるきっかけで子育てにしっかりを向き合うようになって、そこから父親と関係を修復したり、チームに溶け込んでいくようになったりと、本作の肝である子育てと主人公の成長がしっかりリンクして描かれていたね。
そして、ウルトラマン、人間、怪獣。それぞれの家族が描かれていて家族の物語の対比みたいになっていたのが面白かったな。
アメリカのウルトラマン
改めて見直してみると、細いw腕とか足とか骨が見えるぐらい細くて叩かれたら折れそうだったw
なんというか日本のウルトラマンにある初見でのかっこよさ、力強さみたいなのは全く無かったw動けばカッコいいんだけどw
カラータイマーの点滅理由がストレスを感じたら。というのも斬新で面白かった。太陽エネルギーに始まり、大気汚染とかフュージョンの限界とか色々あったけどストレスってwでも、ケンの精神的成長があって心に余裕ができてカラータイマーが点滅しなくなっていくってのはケンの成長を感じやすくて良かった。これって、怒りや妬みが一切ない明鏡止水の境地に達したら永久に変身できるようになるんかね。
印象的だったのは飛行能力、スペシウム光線、ウルトラスラッシュ、バリヤー。こういった特殊能力は持っている一方で、戦闘以外の便利能力系をまるで持っていなかったのが面白かったな。魚を取るときは必死に泳いでいたし、赤ちゃんを洗うときは石鹸とスポンジ使ってたし。日本のウルトラマンだったら魚を取るには光でネットや釣り竿を作るだろうし、怪獣を洗うときはウルトラ水流みたいなのを使うだろうし。
これはアメリカと日本のヒーロー像の違いなのかな。アメリカ的にはいきなりヒーローがバケツを取り出したりするのはありえないのかもしれない。
あと、ウルトラマンが普通に民衆や防衛チームに話しかけて、民衆の反応を伺ってたりとか、怪獣に対して軽口を叩いていたりとか、正直この辺はこんなのウルトラマンじゃない!って思いながら見てたwまさに愛染社長が言っていた「最近のウルトラマンはペラペラ喋りすぎだ!神秘性が薄れる!」の典型例だった。
ただ、これもアメリカ的ヒーロー像だよね。自分が知っている例だとスパイダーバースがこんな感じだった。こんな感じで戦闘中でも常に余裕を忘れず小粋なジョークを言ったりできるのがアメリカ的なヒーローなんだろうね。
それでいえばウルトラマンの使命が「守ること」ではなく「調和」なのもアメリカ的ヒーロー像なのかな。
敵
怪獣の子供を育てるってことになって、じゃあ今回の悪役は誰なの?という中でまさかの防衛チームがメインヴィランになるというトンデモ展開に。地球人の組織がウルトラマンでのヴィランになるっていうのが驚きしかない。小説でマウンテンピーナッツという前例があるけど映像作品では初めてじゃないかな。むしろ、昭和の頃に人間の組織が怪獣を使役して・・・みたいな話を書いたらボツになったみたいな話を聞いたことがあるけど。
でも、この防衛チームの長官の根底にも家族があるんだよね。怪獣によって家族を殺されたからこそ、怪獣を殲滅するという考えに囚われてしまった。
そうなれば怪獣の子供を育てている本作のウルトラマンとしては倒すしかない相手になった。さすがにウルトラマンが地球人を殺してしまう展開は問題視されたのか最後は自爆による幕引きだったけど。
長官によるとウルトラマンによって家族を失ったと言っていたけど、これは文字通りウルトラマンの攻撃に巻き込まれて家族を失ったのか、怪獣から家族を守ってくれなかったことを恨んでいるということなのか。後者だとしたらウルトラマンサーガのタイガの闇落ちみたいな存在なのかね。それでいて長官は本気で家族のことを大切に思っていたし、部下の家族のことも気にかけていたしで決して悪人ではなかったというのがやるせない話よね。
小ネタ
タイトルロゴが出るシーンが初代ウルトラマンのオマージュだったり、車のナンバーがM78-U7だったりとか、けむうる銀行なる銀行の広告があったり、ケンのお父さんが足を痛めてケンにウルトラマンを託したというのはウルトラマンレオのダンを思い出すし、絵本お父さんはウルトラマンが登場したり、ウルトラマンが二人で腕を組んでスペシウム光線を撃ったり。
他にも円谷プロ内外を問わず、日本を意識したと思われる小ネタや小物が多い。
相当ウルトラマン及び日本にリスペクトを持って作ってくれたのがよく分かるし、こういう小ネタを発見するとテンションが上がるね。
セ・リーグの首位チームがヤクルトってあたりに制作を始めた時期を察するw
怪獣の親代わりになるという話はウルトラマン80にもあったけど、実はオマージュだったりするのかな。
次回作
今作の終わりで行方不明だったケンのお母さんから突然の連絡。
そしてその発信元はM78星雲。
この世界にもM78星雲があるのかとか、なんで発信元がM78星雲だとわかるのかとか、どうやってお母さんはそこまで行ったんだとか、ケンはM78星雲と関係があるのかとか、色々気になることがあるラストシーンだったけど、これは続編を作るつもりがあるって事なのかな。