海外メディアがIntelがOptaneメモリー事業を終了させる準備に入ったと報道したとのこと。 ついに来たなぁというのが正直な感想ですな。
不揮発性フラッシュメモリと揮発性DRAMの間のギャップを埋めようとしたインテルの先駆的な3D X-point Memoryが、早すぎる終焉を迎えようとしています。Optane Memoryに対する業界の評価は低く、安価なNVMe SSDがOptaneをクライアントセグメントから追い出しています。Intelは2022年第2四半期決算発表で、Optane Memory事業の整理を開始し、今四半期に5億5900万ドルの「Optane Memory減損損失」を計上すると発表した。
3D XPointは、200層以上の密度を実現する最新の3D積層フラッシュメモリとの技術競争に直面しており、また、最新世代のPCI-Express Gen 5.0コントローラは、10GB/秒を超えるデータレートを実現し、PCIe Gen 5の特定のエンタープライズ関連機能を実現しています。これには、収益性が十分でない、あるいは当社の戦略目標の中核でない事業の売却を評価することも含まれます。慎重に検討した結果、インテルはOptaneビジネスにおける今後の製品開発を中止する予定です。私たちは、この移行期間中、Optaneのお客様をサポートすることをお約束します。
引用元:TechPowerUp Intel to Shut Down Optane Memory Business, Retire 3D XPoint Memory (機械翻訳にて翻訳)
Optaneメモリーとは?
超大雑把に簡単に言うと「パソコンを高速化させるパーツ」。 パソコンのデータを保存するパーツを「ストレージ」と言いますが、このストレージには主にハードディスク(HDD)とSSDという物があります。 HDDは安価で多くのデータが入る大容量ですが読み書きが遅い。SSDは読み書きが爆速ですが高価でデータ容量が少ない。という特徴があります。 そこでHDDの容量とSSDの速度を組み合わせれば最強のストレージが生まれるんじゃね?という発想から生まれた・・・かどうかはわかりませんが、HDDとSSDを組み合わせて二つで一つのストレージにすることで高速大容量の仕組みを実現させたのがこのOptaneメモリーですね。なお、似たようなことをやったけど全く流行らなかったSSHDなるパーツもあった模様。 メモリーという名前ですが実際はSSDの一つで、データをHDDに保管しつつ読み書きをSSDで補助している形になります。 Optaneメモリーが登場したのは2017年頃だったと思うのですが、この頃はWindows10が度重なるアップデートにより激重OSになっていてHDDの読書速度ではネットサーフィンすらまともにできないレベルになりつつあったと記憶しています(なお、この激重OSは今も続いていてWindows11ではHDDがサポート対象外になるなんて話題もあったり・・・)。かといって当時はまだまだSSDは高い割に容量が少なくて搭載しづらい時期でしたからHDDの大容量で高速化できるOptaneメモリー登場時は大いに期待したものです。 実際Optaneメモリー+HDDのパソコンを使ったこともあるのですが、HDDとは比べ物にならないほど速度に感動したことを覚えています。なお、その感動は長く続かなかった模様。 しかし、このOptaneメモリー。欠点も多かったもので・・・。
Optaneメモリーの欠点
私が感じたOptaneメモリーの欠点を挙げていきます。 まぁ、先に結論を言うと「SSDでよくね?」という結論になってしまうのがOptaneの悪いところ。
搭載のハードルが高い
どんなパソコンでも積めるわけではなく「NVMe」という接続端子が搭載されていないと搭載することができません。この端子自体はユニバーサル規格であり今では大体のパソコンに当たり前に積まれていますが、Optaneメモリーが登場した当時はまだまだ普及途上で搭載していないパソコンも多かったです。 さらにCPUが第7世代Coreシリーズ以降じゃないと対応できない。簡単に言うと当時の最新CPU以降しか対応できず、一番速度に悩まされる廉価PCに積まれているCeleronやPentiumは対応外。このため「昔買ったパソコンが遅いから早くしたい」という用途にはまるで使えませんでした。これができればもっと需要あったんじゃないかな・・・。結果、Optaneメモリーを使うためにはパソコン本体や自作PCなら中のパーツを変えないといけないという状態に。 対してSSDはHDDが積まれているパソコンなら問題なくHDDと入れ替えて搭載することができますので、新調にしろ今あるものに手を加えるにしろSSDでよくね?となったわけです。
Optaneメモリー自体が高い
発売当時、大体6500円ぐらいで買えたOptaneメモリーですが、この当時6000円といったら容量は128GBと少なくNVMeよりは遅いSATA接続ですが十分高速なSSDが普通に買えた時代ですし、もうプラスアルファで1万円出せば240GB程度のSSDも買えました。 Optaneメモリー+HDDとシステム用SSD+データ用HDDの組み合わせで大して価格差もなかったので、システムSSD+データ用HDDの組み合わせでよくね?となりましたね。 システム用とデータ用を分けるのが面倒くさい。大容量で早いストレージが欲しいんだ。という人には需要はあったかもしれませんが、今となっては500GB 、1TBが当たり前に買えてシステム用とデータ用に分ける必要もない時代になりましたからね・・・。
動作が安定しない
確かに普通のHDDよりも遥かに早いパフォーマンスを見せたOptaneメモリー+HDDの組み合わせですが、しばらく使っていなかったりすると、途端に動作が遅くなるという現象が度々見られました。 Optaneメモリー搭載機を初めて触ったときは、これ本当にHDDなのか!?と驚くぐらい早かったのですが、その数日後に再び電源を入れたらWindowsのようこそ画面でぐるぐるし続けて全然起動が終わらないなんてこともありました。3日で壊れたか?と思いましたね・・・。 これについて調べてみても特に情報がなくて原因不明だったのですが、結局遅いものを補って早く動かしているわけで、大元が早くなっているわけではない以上限界があるのかな?と思いました。 だったら多少遅くなることがあっても十分早いSSDで(ry
とまぁ、こんな感じで「SSDでよくね?」という結論になってしまうのがOptaneメモリー。 それでも1TBSSDが3万とか4万とかしてた時代なら選択肢になったかもしれませんが、SSDはどんどん値段が下がり1TBでも1万円程度で買える時代。 発売当初は積極的に導入していたメーカーも多かったですがメーカーも持て余したのかOptaneメモリー+SSD構成とかいう意味不明な事を始め、今では各メーカーもOptaneメモリーを捨てSSDに移行済み。 Optaneメモリーを選ぶ理由はもはや無いでしょうな・・・。