ウルトラマンの話

ウルトラマンX 「戦士の背中」

2017年9月28日

この記事は2017/09/29に書いたものです。

「戦士の背中」はウルトラマンX第15話のエピソード。

あらすじ

怪獣ゴメスが出現。地中を移動するゴメスに対し警戒態勢を敷くXio。
そんな中、神木隊長に一通の手紙が届く。それは娘の裕美からの結婚式の招待状だった。結婚式の日時は翌日で招待状には「暇なら来てください」と素っ気ないメッセージが添えられていた。
結婚式の事を知った橘副隊長は神木隊長に娘に会いに行ってあげてほしいと言う。初めは「娘は自分に会いたくないだろう」と拒否する神木隊長だったが、橘副隊長の説得を受け会いに行くことを決意する。

神木「何・・・持っていけばいいのかな。あー・・・手ぶらでいいのかな。」
橘「大丈夫。一緒に御飯でも食べてきてください。」

基地を留守にした神木隊長。怪獣の脅威が迫っている厳戒態勢の中で隊長が不在な事に疑問を抱くXio隊員たちだったが、隊長が明日結婚式の娘に会いに行ったと知って一様に驚きの表情を浮かべる。娘の結婚式があることもそうだが、隊長にそんな大きな娘がいることすら誰も知らなかったのである。
橘「隠してたわけじゃないの。ただ、話したくても話すことが無かったんじゃないかな。娘さんと長いこと口もきいてないみたいだから。」

一方、娘の裕美の勤務先を訪れた神木隊長。ぎこちない親子の会話の中で神木隊長は気になっている事を聞く。
神木「どんな奴なんだ?」
裕美「・・・家族を大事にする人。」
かつて、神木隊長の妻は病気で入院していた。日に日に弱っていく妻の元へ裕美と共に頻繁に見舞いに訪れていた神木隊長だったが、怪獣の出現と妻の危篤が重なってしまい神木隊長は平和を守るため任務を優先して出撃。怪獣を撃退し戻ってきた時には妻は息を引き取っていた。
幼かった裕美にとっては病気の母親よりも任務を優先して母親を見捨てた様に見えてしまい、これ以降神木親子の間には溝が生まれ何年も口すらきいていない生活が続いていたのだった。
裕美「分かってるんだ。家族よりも優先すべき仕事だって。頭では分かってるんだけど・・・。実際にそれをされると辛いんだよね・・・。」

主な登場人物

・神木正太郎
頼れるXio隊長で今回の主役。彼の家族や過去が明かされる。
長年関係が冷めきっていた娘の裕美から結婚式の招待状が届いたことで彼女と向かい合うことになる。
父親として戦士として平和を守るためにゴメスに立ち向かう。

・神木裕美
神木隊長の一人娘。
かつて母親を見捨てて任務を優先した(と見えてしまった)神木隊長に対し割り切れない複雑な思いを抱えている。
結婚式の事を神木隊長には一切知らせておらず前日にいきなり招待状を送りつけてきた。

・橘さゆり
Xio副隊長。
Xioの中では唯一神木親子の事情を知っており、自分もかつて嫁に行った娘として神木隊長にアドバイスを送る。

・大空大地
・ウルトラマンエックス
主人公コンビ。
神木隊長の娘のことや結婚式の事を知り驚きながらも神木隊長のために尽力する。

・山瀬アスナ
・風間ワタル
・貴島ハヤト
Xio隊員たち。
神木隊長に娘がいて結婚式も行われる事を知って驚いていた。
隊長を結婚式に出席させるために全力を尽くす。

事の顛末

仕事に戻ってしまった裕美。掛ける言葉がない神木隊長。そこへ橘副隊長から緊急連絡が入る。
ついにゴメスが地上に現れたのだ。
迎撃に出撃するXio。大地はエックスとユナイトしゴメスに立ち向かうもゴメスは地中へと逃げ去ってしまう。
地下に逃げたゴメスに対し監視体制を取るXio。その中でXio隊員たちは神木隊長へ思いを告げる。

大地「行ってください結婚式。」
ハヤト「娘さんの花嫁姿、見てあげてください。」
ワタル「(怪獣は)俺達が見張ってますから。」
アスナ「私たちに任せてください。」

部下たちの思いを受け取った神木隊長は結婚式場へ向かう。しかし、基地を出た彼は長年の経験から培った勘で異変の予兆があることを察して司令部に帰還してしまう。
そして、その勘は当たってしまい、ダークサンダーエナジーによって凶暴化したゴメスが再び地上へ出現する。
ハヤト「結婚式まであと1時間!」
ワタル「なんとしてでも間に合わせるぞ!」
迎撃を開始するXio。神木隊長を結婚式に出席させるために全力を尽くす隊員たちだったがゴメスは一向にダメージを受けた様子がない。ゴメスを倒すべく大地は再びエックスとユナイトする。
ゴメスに立ち向かうエックス。しかし、凶暴化したゴメスの圧倒的なパワーの前に追い込まれてしまう。
エックスの窮地を救ったのは神木隊長によって起動されたサイバーゴモラであった。
パワーでは敵わないゴメスに対しテクニカルなボクシングスタイルで立ち向かう神木隊長。しかし、この時結婚式は既に始まってしまっていた。
娘の結婚式が頭をよぎりながらも父親である前に戦士として平和を守るためにゴメスに立ち向かう神木隊長。その奮闘にエックスもエクシードエックスを発動しサイバーゴモラと共闘。最後はザナディウム光線とサイバー超振動波の同時攻撃でゴメスを撃破することに成功する。

任務を完了した神木隊長は結婚式場へ急ぐ。しかし、彼が教会に到着した時結婚式は既に終わっており教会はもぬけの殻であった。
自分はまた間に合わなかったのか。苦悩の表情を浮かべる神木隊長。そんな彼に歩み寄る一つの影。

裕美「お父さん。」

そこには花嫁姿の裕美がいた。父は必ず結婚式に来てくれると信じていた彼女は花嫁姿のままでずっと待っていたのである。
ずいぶん久しぶりに神木隊長を父と呼んだ裕美。その言葉を聞いた神木隊長は裕美と腕を組みながら無人の教会で共にヴァージンロードを歩くのだった。

登場怪獣

・古代怪獣ゴメス
日本に突如現れた怪獣。地中を移動することができ各地で地震を発生させるなど被害をもたらしていた。
エックスを圧倒するパワーとXioの攻撃を受け付けない頑丈さを併せ持つがベムスターアーマーを駆使して対抗したエックス相手に一旦は退却する。
その後、ダークサンダーエナジーによって凶暴化し再び地上に出現。ただでさえ強力だったパワーが更に強化された上に、口から熱線を吐く能力を得てエックスを一方的に追い詰めたが、援護に現れたサイバーゴモラと共闘したエックスによって倒された。

ちなみに、凶暴化した際は姿や鳴き声も変化しており、何処かで見たような姿で何処かで聞いたことある鳴き声で鳴きながらこれまた何処かで見たことある熱線攻撃を繰り出すなど、デジャヴを覚える姿となっていた。これについてはこのエピソードの放送日がかつてとある怪獣王の映画が公開された日と同じであることから意図的な演出であったと担当監督は語っている。

ついでに余談を言っておくとウルトラQの時に作られた初代ゴメスのスーツはその某怪獣王のスーツの改造品なので、ある意味原点回帰と言えるかもしれない。

概要

Xioの頼れる隊長である神木隊長の主役回。
同時に彼の過去も明かされ、地球防衛という特殊な任務によってこじれてしまった親子の関係を中心に話が展開されます。ある意味、これも地球防衛の暗部と言うべきでしょうか。
主役ということもあって今回の神木隊長はめちゃくちゃ格好良く、サイバーゴモラを起動した後の彼の背中(正に戦士の背中)と結婚式おなじみの結婚行進曲をBGMにゴメスに立ち向かうサイバーゴモラの姿は必見です。
ちなみにこのエピソードによって神木親子の関係は改善されたようで、劇場版ウルトラマンXにおいてXioに裕美から手作りクッキーの差し入れが届けられ、それを食べたXio隊員たちが美味しいと喜んでいるのを見て「そうか。美味いか。」と神木隊長が笑顔を浮かべる一面があります。









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