
引用元:ウルトラマンガイア第35話 / 「怪獣の身代金」
この記事は2017/10/06に書いたものです。
「怪獣の身代金」はウルトラマンガイア第35話のエピソード。
あらすじ
南極で氷河期に生息していたとされる怪獣アルゴナの卵が発見される。
地球防衛組織G.U.A.R.D.(XIGの上位組織)の輸送機にて卵を研究施設へ輸送中、東京上空に差し掛かった頃、卵から発生した溶解液で輸送機に穴が空き、卵は空へと放出。パイロットたちは卵の後を追うことも叶わず墜落する機体から脱出した。
ナレーション「その頃、全く無関係な古田鉄工所では。社長は昼寝。工員の武と幸男は元気に暇を潰していた。」
バスケに興じる工員二人だったがバスケットゴールに巨大な卵がダンクシュートされる。
一方そのころ、XIGでは行方不明になった卵の行方を追っていたが一向に見つからず落ちた時の衝撃で燃え尽きたのでは?という見解が示されていた。
落ちてきた卵を知り合いの開業医藪野に見せる古田鉄工所。これはダチョウの卵だよと断じる藪野だったがテレビの報道によって自分たちの元にある卵が怪獣の卵であることを知る。
ナレーション「そして、それから十二時間が経過しようとしていた。」
食事をとっていた我夢たちだったがアルゴナの卵を心配していた我夢は食欲を失っていた。そんな我夢を見かねた梶尾に少しは飯を食えよと言われてしまうがそれでも我夢の心は晴れない。
そんな我夢にジョジーは
ジョジー「知ってる!そう言うのって牛の知らせっていうんだよね!」
我夢、梶尾「「牛?」」
挿入される牛の一枚絵(手書き)「モォ〜」
梶尾「牛じゃなくて虫!虫の知らせだよ!誰だよそんな言葉教えたやつ!」
梶尾の鋭いツッコミに静かに席を立ち上がりそそくさと場を離れようとする人物が一人。
梶尾「・・・敦子。」
なんとも賑やかな食堂だったが我夢の心は晴れないままであった。
我夢「なんか、嫌な予感がするんだよなぁ・・・。」
ナレーション「その予感は・・・当たっていた。」
幸男「やめましょうよ!怪獣の卵を使ってG.U.A.R.D.から身代金を取ろうなんて!」
自分たちのもとにある卵が怪獣の卵でG.U.A.R.D.がその卵を捜索している事を知った古田鉄工所は卵を人質(卵質?)にしてG.U.A.R.D.から身代金をせしめようとしていたのである。
最後の良心幸男が止めようとするものの社長、武、藪野の三人はノリノリであった。
その勢いで渾身の出来の脅迫状を書き上げる社長。
社長「身代金を手に入れた暁には、この鉄工所を世界一の鉄工所にするぞ!」
藪野「私はヤブノ医院をリフォームするぞ!」
武「俺はこんなしょぼい鉄工所を飛び出して、無人島にこの世のパラダイスを作るぞ!」
幸男「俺・・・電子レンジほしい。」
(一名おかしいのがいるが)準備は整った。あとはこの脅迫状をG.U.A.R.D.へ送りつけるだけである。が・・・
社長「武。G.U.A.R.D.の住所はどこだ。」
武「G.U.A.R.D.の住所?」
そう。存在が公になっているとは言え地球防衛組織の本拠地を一般人が知っているわけないのである。悪巧みも万事休すと思われたが、武があるアイデアを出す。そのアイデアを聞いた(最後の良心だった幸男も含めた)面々は不敵な笑みを浮かべるのだった。
所変わって民放テレビ局KCB。
玲子、倫文、田端(のいつもの三人組)は局に送られてきた手紙に目を通していたが
玲子「脅迫状?」
玲子が一通の不思議な手紙を発見する。それは「フルータ星人」なる宇宙人から怪獣の卵を預かった。という脅迫状であり、今すぐG.U.A.R.D.に連絡しなさいと書かれていた。
単なるイタズラかと思った三人だったが、封筒に(座布団の上に乗せられた)アルゴナの卵の写真が同封されていたことと
倫文「でもこれ宇宙人の仕業ですよ。だって、こんなに字の汚い人間いませんよ。」
と、脅迫状の文章が人間の書いた文字に見えないことから三人は宇宙人の存在を確信する。
我夢「フルータ星人!?」
脅迫状はすぐにXIGへと送られた。我夢を始めいきなりすぎる内容に困惑するXIGだったが、アルゴナの卵が現存していること。卵を使って良からぬことを企んでいる輩がいることは確実であり、我夢は卵の捜索を開始しようとする。
石室「慌てるな我夢。お前にこの任務のパートナーを紹介する。」
我夢「パートナー?」
志摩「安心しろ我夢。俺がきっちりサポートしてやる!」
石室コマンダーが我夢につけたパートナーとは陸戦チーム「チームハーキュリーズ」の一員にして薄毛のガチムチ志摩であった。
我夢「し、志摩さん・・・。」
KCBの会議室で局地生物研究の権威京極博士やKCBクルーと共に作戦会議を始める我夢と志摩。
京極博士によると南極の冷たい氷の下で眠っていたアルゴナの卵は地球の陽気で孵化に向け目覚めつつあるらしく、フルータ聖人はアルゴナを悪用しているのではないかと言い、獰猛な肉食獣であるアルゴナが目覚めれば大変なことになると警告する。
倫文「肉食と言ってもみなさん見たでしょう?あんな小さい卵から生まれる怪獣なんて大したことありませんよ。」
と余裕綽々な倫文だったが
京極「大きくなるんです。」
倫文「はい?」
京極「しかも、卵ごと。」
倫文「ええ!?」
アルゴナは孵化に向けて卵ごと大きくなるという性質を持っており、生まれるときには巨大怪獣となっているのだという。
そこへ、KCBに電話がかかってくる。
玲子「(ガチャ)はい。もしもし?」
????「もしもし?フルータ星人だ(裏声)。」
玲子「いつもお世話になっております!」
フルータ星人「怪獣の身代金として金の延べ棒を八本用意していただきたい。」
フルータ星人の要求はカネではなく金であった。金は伝導率が高く精密機械の部品に最適であり宇宙船の部品に使えるのである。
なんとフルータ星人は地球で宇宙船を作ろうとしていたのだ!そして要求を飲まねば彼らはアルゴナを悪用するだろう。もはや、一刻の猶予もないほど事態は緊迫していたのだ!(XIGの中では。)
一方、古田鉄工所では勝利を確信した面々によって祝賀会が開かれていた。彼らは金の延べ棒を手に入れた暁には鉄工所の設備で金を溶かして大量の金貨を作り売りさばくという(間違いなくアシがつきそうな)計画を企てていた。金の延べ棒を手に入れた未来に気を良くした面々は別室に保管している卵の様子を見に行く。
しかしそこには、人間よりも大きく成長していた卵の姿があった。
(人間たちがアホな事をしている内に)東京の陽気(と毛布とストーブ)によってアルゴナは着実に孵化の時を迎えつつあった・・・。
主な登場人物
・高山我夢
XIGのアナライザーにして我らがウルトラマンガイア。
行方不明になったアルゴナの卵のことを考え食欲を失っていた。その後はフルータ星人という突拍子もない存在に呆れながらもアルゴナ捜索の任に着く。
今回は珍しくXIGファイターでの攻撃シーンがある。
・志摩貢
陸戦チーム「チームハーキュリーズ」の一員。薄毛のガチムチ。
石室コマンダーより我夢のパートナーとしてアルゴナ捜索の任に着く。
ちなみに今回のパートナーに抜擢された理由は自分の脳筋っぷりの陰口を聞いてしまい、我夢みたいに知的な任務がしたいとコマンダーに直談判をしたから。という裏設定がある。
・ジョジー・リーランド
XIGオペレーターその2
嫌な予感がする我夢に「牛の知らせ」という覚えたての日本語を披露した。
・佐々木敦子
XIGオペレーターその1
ジョジーに「牛の知らせ」という間違った日本語を教えたのはコイツ。
・梶尾克美
空戦チーム「チームライトニング」のリーダーにして我夢の頼れる兄貴分。
ジョジーの「牛の知らせ」に鋭いツッコミを入れた。
出番は少なめだが視聴者に抜群なインパクトを残す(顔芸的な意味で)。
・京極博士
局地生物学の権威でアルゴナにも詳しいことからXIGに協力する。
全員がギャグ回補正でカオスな事になっている中、珍しくまともな人。
中の人は「ウルトラマンタロウ」においてレギュラー隊員だった。
フルータ星人古田鉄工所
東京下町の町工場。数時間前に配置を変更したバスケットゴールに怪獣の卵がシュートされるという(天文学的数字どころじゃない確率の)奇跡で怪獣の卵を手に入れてしまい、それを悪用して一儲けを企んだ。
一応、今回の黒幕にして元凶。
・社長(演:河原さぶ)
クレジットも社長な本名不明の社長。仕事がないのか社長なのに昼寝をしていた。
KCBに送りつけた脅迫状は彼の手書きであり地球人とは思えないぐらい字が汚かった(それ以外にも預かるを貯かると間違えていたり、身代金が漢字で書けずひらがなになっていたりとツッコミどころが多い)。が、結果として宇宙人存在説にリアリティを与えたのだから結果オーライ・・・なのか?
身代金を手に入れた暁には古田鉄工所を世界一の鉄工所にすると語る。是非とも普段から地道に努力をした上で達成していただきたいものである。
・武
工員その1。先輩。
身代金計画には最初からノリノリであり、G.U.A.R.D.の住所が分からないなら怪獣の報道をよくやっているKCBの玲子に送ればいいんじゃないかと提案したのも彼。
身代金を手に入れた暁にはこんなしょぼい鉄工所を辞めて無人島にこの世のパラダイスを作ると宣言したが金の延べ棒8本、山分けするとして2本分の儲けで無人島が開拓できるかは少々疑問である。
・幸男
工員その2。後輩。
身代金計画を初めは止めようとしていたが3分後にはノリノリになっていた。
身代金を手に入れた暁には電子レンジを購入するという実に細やかな願いを語る。どうやら鉄工所の給料は電子レンジすらまともに買えないぐらいらしい(まぁ、社長が昼寝するぐらい仕事無いからね)。
・藪野
診療所に持ち込まれたアルゴナの卵をダチョウの卵と断定する。
古田鉄工所の面々と交流のある医者で「ヤブノ医院」の開業医。家政婦募集中。
鉄工所の身代金計画に乗り身代金を手に入れた暁にはヤブノ医院のリフォームをすると語るが建物よりもその名前を何とかするのが先ではないだろうか。
・吉井玲子
・田端健二
・井上倫文
民放テレビ局KCBのクルー。役職は上からレポーター、ディレクター、カメラマン。
古田鉄工所はG.U.A.R.D.の住所が分からず彼らに脅迫状を送った。
・ナレーション
所謂天の声。登場人物ではないが一応記載。
カオスな状況の中、淡々と仕事をこなす。
事の顛末
巨大化した卵を前に唖然とする古田鉄工所。
社長「逃げよう。」
即断即決の社長に従い逃げ出そうとする面々。だったが・・・
藪野「あ、だめだ!タバコ屋のお春婆ちゃんが昨日足挫いて診療所来てた・・・。」
このまま町の中で怪獣が孵化すれば足を痛めたお春婆ちゃんは逃げられない。古田鉄工所に緊張が走る・・・。
一方、XIGでは我夢の解析によってアルゴナの卵から特殊な高周波が出ていることが判明。
この高周波を辿ることで卵の在り処を探ることが可能となった志摩は我夢のサポートの元、京極博士と共に敵に気づかれない様に地上から車でフルータ星人のアジトへ向かう。
危険ということで置いて行かれたKCBクルーだったが、独自にXIGの追跡を開始。
ついにフルータ星人との全面対決の時が来た。と思われたが・・・
我夢「志摩さん!卵が移動を始めました!」
幸男「卵どこに持っていくんですか!?」
社長「と、とにかく、人のいない所に運ぼう!」
藪野「み、未開の山奥!未開の山奥に行こう!」
武「そんなところ近くにないっすよ!」
町がどうなっても構わないが、タバコ屋のお春婆ちゃんを危険にさらす訳にはいかない古田鉄工所は卵をトラックに積み込み、人気のない所へ輸送を開始していた。
一方、KCBクルーは信号待ちによって志摩の車を見失い途方にくれていた。
そんな彼らの前を古田鉄工所のトラックが通り過ぎる。
田端「なんだあれ?古田鉄工所?」
倫文「古田?」
玲子「フルータ?」
3人「「「!」」」
田端「追えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
全ての真相を理解したKCBはトラックの追跡を開始する。すると・・・
倫文「志摩さんが後ろからついてくる!」
田端「お!最高の気分だぜ!」
KCBの方が志摩よりも先にトラックを発見しており、自分たちを置き去りにしたXIGを追い抜いていた事が判明。テンションの上がるKCBクルー。
志摩「なんでKCBが俺の前にいるんだぁー!」
一方、追い抜かれた志摩の方は怒りでヒートアップしていた。KCBを追い抜こうとアクセルを踏み込もうとする志摩だったが、前方の横断歩道を怪しい宗教団体が横断を開始する。しかも、宗教団体は相手がXIGであっても一歩も引かず志摩に勧誘のチラシを配り始める。
志摩「わかった、ありがとう、これはもらう、だから早く行って、ね、お願い、早く行って!」
志摩が無駄な足止めを食らっていた頃、古田鉄工所は(未開ではない)郊外の山奥へ卵を廃棄することに成功する。が、そこにKCBクルーが追いつく。
KCBの追求に全てを白状する古田鉄工所。こうして事件はすべて解決・・・していなかった。
志摩「そこまでだ!フルータ星人!」
京極「卵を返しなさい!」
卵のことをすっかり忘れていた古田鉄工所&KCB。そんな彼らの背後でついに古代怪獣アルゴナが復活してしまう。
よだれを垂らしながら一向に迫りくるアルゴナ。
京極「餌です!我々が餌に見えています!」
腹をすかせたアルゴナは餌を求め一向に襲いかかるが、それを阻止したのはXIGファイターで駆けつけた我夢であった。
更に緊急時に備え待機していたチームライトニングも参戦。アルゴナに攻撃を加えていく。
ライトニングに負けじと攻撃に参加しようとする我夢だったが、アルゴナからの反撃を受けてしまう。
梶尾「何やってんだ我夢!戦闘は俺達に任せて、お前はもっと後ろで・・・」
その時、我夢に気を取られた梶尾の機体を衝撃が襲う。そして梶尾機は操縦不能に陥った。
梶尾「なんだ!どうした!」
志摩「梶尾!餌だ!お前が餌に見えてるぞ!」
梶尾「餌?」
ここでカメラがコクピット内から外の視点へと切り替わる。
そこには梶尾機を捕まえやったぜ!と言わんばかりにガッツポーズするアルゴナの姿があった。
梶尾「づぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(声にならない叫び&顔芸)」
梶尾を救うべく我夢はガイアに変身する。
アルゴナの意識がガイアに向いたその隙に梶尾は脱出。
ガイアとアルゴナは激しい戦いを繰り広げ、弱ったアルゴナにとどめを刺そうとガイアは光線の構えを取る。
京極「ウルトラマーン!アルゴナを南極の冷たい海の下に戻してあげてください!そうすればアルゴナは再び眠りにつくでしょう!」
京極博士の願いを聞いたガイアは光線を中断。アルゴナを氷漬けにして南極へと運び去った。
社長「ありがとー!」
ウルトラマンに手を振る古田鉄工所の面々。アルゴナの危機は去り今度こそ事件は無事解決した。
志摩「待て!今更人間のフリをしても無駄だ!フルータ星人!」
そう、志摩の中以外では。KCBが古田鉄工所を問い詰め終わった段階で追いつき、その後すぐアルゴナが孵化した為、志摩には真相を知るタイミングが無かったのである。
左手にガトリング、右手にバズーカという人間の扱い方じゃない完全武装で古田鉄工所に迫る志摩だったが、田端がすぐに耳打ちする。
志摩「何?古田鉄工所?古田?フルータ?」
幸男「はい。」
真相を知った志摩。しかし、彼は武器を降ろさなかった。それどころかますます高まっていく怒りのボルテージ。
志摩「何を考えてんだお前らぁぁぁぁ!!!!」
こうして、薄毛の中年ガチムチ男のドアップ映像と何かが爆発したような効果音と共にこのエピソードは終了する。爆発した様な効果音は両手の物をぶっ放した音か志摩の怒りが爆発したことの比喩表現か。できれば後者であると願いたい。
登場怪獣
・古代怪獣アルゴナ
爬虫類と哺乳類を繋ぐミッシングリンクで獰猛な肉食怪獣。
南極の氷の下で卵の状態で発見されたが、数奇な運命を辿った後日本で孵化した。
おびただしい量のよだれを垂らしながらその場にいた人間たちの捕食を狙ったが、ガイアに阻まれ最後は氷漬けにされて南極へと戻された。
ギャグ回ゆえに気づかれにくいが、立派な人間の悪意の被害者である。
概要
ウルトラマンガイア唯一のギャグ回であり、普段がハードな分とにかくぶっ飛んでいる話。
怪獣の卵を手に入れてしまった地球人の浅はかな悪巧みとそれを真に受け真面目に野望を阻止しようとするXIG。この2つがカオス空間を生み出し、全てを理解している視聴者視点からでは両陣営の温度差もあって劇中の全てが笑いを誘う高クオリティなギャグ回となっております。
ギャグ回故の明るい雰囲気、怪獣を倒さずに救う、ゲストに出演者がいる。といったことからからウルトラマンタロウを意識した作品とも言われますね。
ちなみにガイア作中で○○星人という単語が出てくるのはこの回だけです。
この翌週は行方不明となっていた藤宮(=ウルトラマンアグル)が帰ってくる話なので新たなストーリーの前の箸休め回といった所でしょうか。
ちなみに、この脚本を担当したのは太田愛さんです。優れた脚本家はなんでも書けるのです。
また、太田さんはこのエピソードの前日談、というかエピソードの数時間前を描いた小説を描き下ろしています。
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