この記事は2017/10/27に書いたものです。
この星の人間は、空を、大地を、汚し続ける。
ウルトラマンマックス第4話「無限の侵略者」に登場した宇宙人。
地球の美しさに惚れ、地球を第二の故郷とする。と称して地球侵略を開始した宇宙人。
主な特殊能力は他人に化ける変身能力と高速移動の二つ。
劇中では変身能力でミズキ隊員になりすまし、カイト(=ウルトラマンマックス)を翻弄するも、本物のミズキが現れたことで正体がバレてしまう。
その際に、上述のセリフを述べカイトとミズキを惑わそうとするも、カイトからは「人間はその過ちに気づくはずだ」と確固たる意思のもとに反論され、カイトとミズキの連携の前に形勢不利となり巨大化。
その後、現れたマックスと戦闘になると高速移動を駆使した分身でマックスを圧倒した。
が、起死回生のマクシウムソードに高速移動を破られ、最後はマクシウムカノンを受け爆発四散した。
最強最速を謳っている戦士でありながらスピードで翻弄されるマックスの姿は度々ネタにされている。
こうして彼は一話限りの敵キャラとしてその命を全うしたのである。
と、思いきや時が過ぎた2015年3月。
「劇場版ウルトラマンギンガS決戦!ウルトラ10勇士」が公開。
平成の主役ウルトラマンが大集合するこの映画では敵キャラの便利な能力によって登場ウルトラマンの恐怖やトラウマから生み出された過去の強敵たちも参戦する事が判明。
登場する強敵たちを簡単に紹介しよう。
ギンガ、ビクトリーの恐怖より
・ダークルギエル
ウルトラマンギンガ、ウルトラマンギンガSのラスボス。
ギンガは二度に渡って苦しめられ、ビクトリーも一度敗北している。
ティガ、ダイナ、ガイアの恐怖より
・ファイブキング
ファイブキング自体はウルトラマンギンガSで初登場した合体怪獣だが、素体となっているのはティガの初戦の相手にして同胞の石像を破壊したゴルザ&メルバ、ダイナを一度倒した強敵レイキュバス、ガイアの初戦の相手ゴッヴの同族にして最強の超ゴッヴ、ガイアの変身者に恐怖を残したガンQと平成三部作を代表する怪獣たちの合体怪獣。
ネクサスの恐怖より
・ダークメフィスト
ウルトラマンネクサス第一部、姫矢准編のラスボス。
同時にネクサスだけでなく主人公の孤門一輝を始め、多くの登場人物にとっての因縁の相手である。
メビウスの恐怖より
・エンペラ星人
ウルトラマンメビウスのラスボスにして、M78星雲ウルトラの国に戦争を仕掛けた全ウルトラマンにとっての因縁の相手。
メビウスは少し経験を積んだルーキーという時代にこいつと戦い一度分解消滅させられている。
ゼロの恐怖より
・ウルトラマンベリアル
ウルトラマンゼロの因縁の相手にしてウルトラの国を氷河期へ追い込んだウルトラの国の反逆者。
かつてゼロの体を乗っ取りゼロに自分の体が仲間たちを惨殺していく様を見せつけたこともある。
という名だたるメンバーが勢揃いしたのである。
さて、平成主役ウルトラマンには当然マックスも含まれる。ウルトラマンマックスという作品は強敵が非常に多いことで知られ、マックスのトラウマになる怪獣なんて一体や二体ではない。
そんなマックス登場怪獣から栄えある対戦相手に選ばれたのは
スラン星人
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
( ゚д゚)
スラン星人
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
そう、スラン星人なのである。
まさかすぎる参戦と銀幕デビューに「なぜお前がそこにいる」と多くのウルトラファンから突っ込まれていた。
4話にして最速(笑)にされたのがそんなにショックだったのだろうか・・・。
当然これには事情がある。
元々マックスの対戦カードにはゼットンが考えられていた。マックスだけではなく救援に来たウルトラマンゼノンも圧倒し、新兵器マックスギャラクシーの力でかろうじて撃破できた強敵であり、マックスのトラウマとしては十分だろう。しかし、みなさんご存知の通りゼットンは初代ウルトラマンの怪獣でありマックスオリジナル怪獣ではないことからボツとなった。
次に候補に上がったのがラゴラスエヴォ。カイトがマックスと一体化した意味に悩むという重要な回に登場し、マックスを追い詰めた正統派の強敵。同時にマックス初戦の相手であるラゴラスの同族であるためマックスを代表する怪獣としての要素も満たしているという、これまた文句のない相手である。しかし、現存していたラゴラスエヴォのスーツは劣化により撮影に耐えうる状態ではなかったことからボツとなる。
こうして、マックスオリジナル怪獣であり、スーツが現存していて、撮影に耐えられる状態にある怪獣を探した結果こいつしかなかったらしい。
正確にはいくつか見つかったものの戦闘シーンがあることを考えるとスラン星人一択だったようだ。
結果としてイフとか魔デウスと戦わずに済んだのはマックスにとって幸運だっただろう。
かくして銀幕デビューを果たした彼は因縁のマックスと一騎討ちを繰り広げる。
今回も高速移動を生かした分身で撹乱させるも、今回もマクシウムソードに分身を破られ今回はマックスギャラクシーを使用したギャラクシーソードでぶった切られた。
そもそも、トラウマ=記憶から生み出されるという特性上、本編に登場した個体以上の力は持ち得ないので本編よりも成長しているマックスの敵ではないのであった。
こうして、銀幕デビューによるまさかの再登場を果たし彼の役目は完全に終了。
していなかった。
同年9月。
当時のテレビシリーズ最新作「ウルトラマンX」。
多くの平成ウルトラマンがゲスト出演したこの作品にはマックスもゲスト出演。
そのマックス客演回である第8話「狙われたエックス」の敵役として再びスラン星人が抜擢されたのである。
更に今回はあのゼットンを引き連れて参戦。
スラン星人ごときがゼットンを引き連れるとかどういう事だと言いたくなるかもしれないが、ゼットンはシリーズを通して誰かに使役されている怪獣である。
しかも、予告編では「宇宙恐竜ゼットンが出現。エックスのピンチにウルトラマンマックスが登場。」と存在が隠され、OPのクレジットでも表記されておらず、本編に登場するまで完全に存在が隠されたサプライズ枠である。登場の度に扱いが良くなってんなおい。
今回の個体は同胞を殺したマックスへの復讐を目的として行動しており、同胞が目論んだ地球侵略には一切の興味を示していない。
主人公である大空大地の事を入念に調べ尽くしており、変身能力を用いて地球人になりすまし怪獣研究を専門とする当麻博士を名乗り、大地の行方不明の父親も怪獣研究者だったことから父親の知人を演じることで大地に取り入った。
そして、ゼットンへの対策と称してサイバーゼットンカードを共同制作する。
その後、配下のゼットンを出現させエックスがゼットンに対抗するためにサイバーゼットンカードの力でゼットンアーマーを使用するように仕向けた。
これこそが彼の狙いであり、ゼットンアーマーにはエックスの意識を乗っ取る細工がされており、エックスを自分の手駒とした上に、自分を追ってきたマックスを変身せざるをえない状況へと追い込んだ。
そして現れたマックスに対し自身も巨大化してゼットン、エックスと共に3対1の状況でマックスを追い込んだ。
しかし、エックスの意識は乗っ取ってもユナイトしている大地の意識は乗っ取れておらず、大地がエックスの内部から細工を打ち破ったことからエックスの意識が復活。2対2の状況へと持ち込まれる。
最後はマックスと一騎討ちとなり、いつも通り高速移動の分身から背後を取っての奇襲という一歩上を行く戦術を披露した。が、予め地面にマクシウムソードを忍ばせておいたマックスの奇襲を不意打ちで迎え撃つという戦法の前に高速移動を破られ、最後はギャラクシーカノンで粉砕された。
ここまで読んでいただくと分かるが、ご自慢の高速移動は全てマクシウムソードに破られている。成長しないなおい。
こうして、スラン星人は一話限りの宇宙人からマックスの代表的な宇宙人と言ってもいい存在へとまさかの出世を遂げたのである。
ウルトラシリーズ50周年を記念したスチル画像でもマックスの相手はスラン星人である。
今後も彼の活躍が期待される・・・のか?